コラム

SDGsと食品製造業 その1

2021/11/12

ここのところ「SDGs」がメディアで取り上げられるようになり、よく耳にするようになりました。企業や地方自治体などでも、SDGs達成に向けて取り組んでいる企業が増えてきています。
食品製造業にとって他人事ではないSDGsについて紹介していきます。

そもそも「SDGs」とは?

SDGsとは、「持続可能な開発目標」ともいい、2030年までに達成すべき、経済・社会・環境における世界共通のゴールです。「誰ひとり取り残さない」世界の実現を目指し、2015年の国連サミットで採択されました。
SDGsは、17のゴール(目標)と、169のターゲット(達成基準)から成ります。これらの目標は、貧困や飢餓、環境問題、経済、ジェンダーなど、多岐にわたります。

SDGsの主要原則

貧困や飢餓の解決と聞くと、発展途上国の課題のように思われるかもしれませんが、発展途上国だけではなく全ての人々が関わる普遍的な目標であり、日本も例外ではありません。
SDGs実施指針として、政府は「5つの主要原則」を定めています。

普遍性
国内実施と国際協力の両面で率先して取り組む。

包摂性
誰一人取り残さない。国内実施、国際協力のあらゆる課題への取組において、人権の尊重とジェンダー平等の実現を目指し、子供、若者、高齢者、障害者、難民、国内避難民など、脆弱な立場におかれた人々一人一人に焦点を当てる。

参画型
脆弱な立場におかれた人々を含む誰もが持続可能な社会の実現に貢献できるよう、あらゆるステークホルダーの参画を重視し、全員参加型で取り組む。

統合性
経済・社会・環境の三分野の全てに、複数のゴール・ターゲットの相互関連性・相乗効果を重視しつつ取り組む。

透明性と説明責任
取組状況を定期的に評価し、公表・説明する。

SDGsに取り組むメリット

では、SDGsに取り組むことによってどのようなメリットを得られるのでしょうか。
環境省のSDGsガイドでは、4つのポイントを挙げています。

ポイント 1 企業イメージの向上
SDGs への取組をアピールすることで、多くの⼈に「この会社は信⽤できる」、「この会社で働いてみたい」という印象を与え、より多様性に富んだ⼈材確保にもつながるなど、企業にとってプラスの効果をもたらします。

ポイント 2 社会の課題への対応
SDGs には社会が抱えている様々な課題が網羅されていて、今の社会が必要としていることが詰まっています。これらの課題への対応は、経営リスクの回避とともに、社会への貢献や地域での信頼獲得にもつながります。

ポイント 3 生存戦略になる
取引先のニーズの変化や新興国の台頭など、企業の⽣存競争はますます激しくなっています。 今後は、SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能な経営を⾏う戦略として活⽤できます。

ポイント 4 新たな事業機会の創出
取組をきっかけに、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにつながります。


SDGsは世界が直面している社会課題を解決するための目標ですので、SDGsに取組むことによって企業が抱える経営課題の解決に繋がる可能性もありますし、他社との差別化にも繋がります。例えば食品製造業においては、製造中に発生する原料や資材、および過剰在庫によるロスなどを削減できれば、社会問題にもなっている食品ロスの削減に繋がります。

取組にあたって気を付けること

上記に挙げたように、SDGsに取り組むことで様々な面でメリットがあります。しかし、実施するにあたって注意しなければならない点もあります。

SDGsウォッシュ

SDGsウォッシュとは、表面上はSDGsに取り組んでいるように見えて実態が伴っていないことを指します。例えば、SDGsへの取組を公表しているだけで実際は行動していない、掲げている取組と実際の事業に矛盾が生じているなど、意図的でなかったとしてもSDGsウォッシュと判断されてしまいます。

一次的な取組みで挫折

SDGsはその名の通り、「持続可能」でなければなりません。「SDGsに取り組もうとした結果、手間が増えて定着しなかった」「途中で挫折してしまった」とならないようにすることが重要です。

自社の事業にコミットできるかが重要

会社全体で取り組む必要があります。社員ひとりひとりがSDGsを理解・納得したうえで、自社に合った目標設定、および取組を行うことが重要です。メイン業務と目標・取組内容が近しい方が、社員にとっても負担が少なく、途中で頓挫してしまう可能性も減ります。 SDGsの取組を検討する際は、まずは自社の事業、業務を棚卸してみると良いでしょう。

まとめ

SDGsとは、持続可能な社会・環境を目指し、2030年までに達成すべき世界共通の目標です。SDGsに取り組むことによって、社会問題の解決だけでなく、会社として課題解決、および評価の向上に繋がります。実施する際は、まずはSDGsがどのようなものなのかを理解に落とし込み、自社の事業・業務に合った、「持続可能な」施策が重要です。

SDGsの実施はあくまで任意となりますが、食品製造業にとっては昨今問題となっている食品ロス問題にも直結するため、今後不可欠になってくるのではないのでしょうか。
食品製造業におけるSDGsについては、次回以降紹介して参ります。

出典:「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド【第2版】」(環境省) (http://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-honpen_ver2.pdf


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例:需給調整

筆者:坂口

2017年入社
営業担当
「需っ給さん」をはじめとするパッケージ商品ご提案。
趣味:映画・ミュージカル鑑賞